不登校は才能、個性のひとつの形

12.12付けAERAdot.にとてもよい記事が載っていたので、紹介します。(Yahooニュースより)
https://news.yahoo.co.jp/articles/ae75606ee60cec0e123bbd0e81298e71bfe6cfa9?page=1

インタビューに応えたのはスタンフォード・オンラインハイスクール校長の星友啓さん。
 世界は教育システムに子どもを合わせるのではなく、すべての子どものニーズに合わせて学び方を最適化する方向にどんどん進んでいることに気づかされます。いま日本では多様な学び方を推進する私たちのような価値観は学校教育のメインストリームから見れば異端と位置付けられますが、10年後にはきっと日本でも私たちの考え方が主流になっていることでしょう。そう予見します。

以下、記事より

【成績が悪い、学校についていけない天才児たち】
 私が校長を務める学校には、いわゆる「ギフテッド(天才児)」と呼ばれる子どもたちが多く在籍しています。「ギフテッド」と判定される子どもたちの中にも、学校での成績が低い子どもたちが少なくありません。通説となっている、「天才は成績が良い」というのは誤り。才能の開花は適切なサポートがあってこそです。天才かどうかにかかわらず、「成績が芳しくない」というのは、その子どもが才能や適性に見合った学習サポートを受けていない、あるいは受けてこなかったことを表しているに過ぎません。子どもたちの才能は多様です。その子ども自身が学校の枠組みに合わないと、勉強がつまらない、同級生とうまくいかない、社会性がない、成績が悪い、不登校などの形で表れます。特に「ギフテッド」の子どもたちは、早くから周りとは違った考え方をしたり、物事の本質を見抜いた疑問を抱いたりしがちで、「普通」の学校では「変わり者」や「不適合」のレッテルを貼られてしまいがちです。皆が同じ授業、同じ進度という公教育の「平等」が、「ギフテッド」の子どもたちの個性や才能を潰し、彼らにとって学校を生きづらい環境にしてしまいかねないのです。「不登校」は現在の学校環境が子どもの個性や才能をサポートできないということの表れにすぎません。「不登校」の子どもを「ダメ」と決めつけるのではなく、その子どもの個性や才能の「叫び」を受け止めて、適切なサポートを考えていく必要があるのです。

【「教育」はもう古い!?子どもの学びをサポートする「学育」】
 私は、子どもの「学び育つ」主体性に焦点をおいて学習をサポートしていこうと呼びかけてきました。 「教育」の「教え育てる」という視点が、教える側の視点に偏りがちなことに注意して、学ぶ側の子どもたちにいま一度焦点を向け直さなければならない。そのメッセージを込めて、「学育」という言葉を提唱してきました。 「学育」に視点をシフトすることは、才能を伸ばすための最重要ヒントです。子どもの主体的な学びを引き出すには、まず、教育方法や教材を決めつけず、子どもにフィットしたものを見つけていくことが必要です。  どれだけ世間でいいと言われていても、あなたの子どもに合わなければ意味がありません。「いい教材のはずなのに、できないなんてお前はダメだ。」ではなくて、その子どもに合わない教材や学習環境を変えることに目を向けなくてはいけません。  それから、ステレオタイプで子どもに「レッテルを貼る」のをさけましょう。 「あなたは国語ができるけれど、数学は苦手ね」  こうした何げない声かけが、大きなマイナスの影響を与えてしまうことがわかってきています。 「不登校」「勉強嫌い」「落ちこぼれ」とネガティブなラベルで子どもを決めつけてしまうこと自体が、子どもの個性や才能をつぶして、子どもを本当にダメにしてしまうのです。

【自分の学びは自分でデザインする!「Design Your Learning」とは?】
 スタンフォード大学オンラインハイスクールでは、子どもたちの可能性をみんないっしょの横並びの枠組みで制限せず、子ども一人一人が必要な学習環境をサポートできるような学校づくりをしてきました。私は、その考え方を「Design Your Learning」と呼んでいます。  例えば、オンラインハイスクールでは、通常の「統一カリキュラム」や「学年」がありません。  年齢でなく、学習進度や目標に合わせたカリキュラムを生徒それぞれにデザインしていくために、アカデミックアドバイザーがサポートします。そのため、13歳で歴史の授業は通常の中1レベル授業だが、数学は大学レベルのコースを履修なんていうことがザラです。 また、通常の意味での「時間割」ありもません。  例えば、同じコースをとっている生徒たちが、同じ時間の同じ授業に参加するとは限りません。毎年、スケジュールづくりの時期が来ると、子どもたちは、睡眠時間や、その他の課外活動などの予定を学校に提出します。生徒たちのスケジュール、国によって違うタイムゾーン、教員のスケジュールをデータ化してスケジュールをコンピューターで最適化。生徒一人一人に合った、授業スケジュールをはじき出します。  世界の教育は、子ども一人一人に学習を最適化する「パーソナライズド学習」に向かっています。「Design Your Learning」は、自分に最適化されたカリキュラムをこなしていくという受け身の姿勢から一歩進んで、生徒が主体性を持って自分で自分の学習をデザインしていけるようサポートするという考え方なのです。

【子どもたちの可能性、才能を広げるために私たちができること】
 子どもたちの才能、個性は一人一人違います。  誰にでも万能な教育、学習方法は存在しません。学校も、学習形態の一つにすぎないのです。だととしたら、「不登校」「学校に行かない」も、それだけで「マイナス」にとらえてはいけないのです。  可能性、目の前の子どもの才能、個性にもっと目を向けなおして、その子どもにあった学習の選択肢を見つけてみませんか。  私たち大人、親の役割は、学ぶ主体である子どもの小さな変化や成長を注意深く観察し、彼らの学習条件を最適化するためのサポートを試行錯誤しながら行うこと。  子どもたちの可能性を閉ざさないように、彼らがもともと持っている個性や才能を花開かせて、広げていくサポートを意識してみてください。

星友啓(ほし・ともひろ)
Stanfordオンライン高校校長
哲学博士Education; EdTechコンサルタント 1977年東京生まれ。
2008年Stanford大学哲学博士修了後、同大学哲学部講師として論理学で教鞭をとりながら、Stanford Online High Schoolスタートアッププロジェクトに参加。
2016年より校長に就任。現職の傍ら、哲学、論理学、リーダーシップの講義活動や、米国、アジアにむけて、教育及び教育関連テクノロジー(EdTech)のコンサルティングにも取り組む。2000年東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。2001年より渡米、2002年Texas A&M大学哲学修士修了。
オフィスウェブサイトhttps://tomohirohoshi.com/

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